TVドラマベスト10_10位から1位迄の一覧

10位から1位迄の一覧

TVドラマベスト10(その4)


極私的TVドラマベスト10のまとめの表と、言い忘れたこと等をまとめておきます。


〔お詫びと訂正〕

 今回作成した表を、最初に作成してから書き出せばよかったのですが、記憶だけで書き流していたため、「TVドラマベスト10(その2)」で、とんでもない勘違いをしておりました。

 「非常のライセンス」の主題歌は、天地茂が歌う「昭和ブルース」でした。

 天地茂の真っ暗な雰囲気が、当時、耳にこびりついていたことを思い出しました。

 野際陽子の歌う「非情のライセンス」は「キイハンター」の主題歌でした。

 「ローンウルフ 一匹狼」の天地茂-野際陽子コンビの印象が強烈で、「非情のライセンス」の記憶がごちゃごちゃになっているようです。

 ここに謹んでお詫びしますと共に、訂正させていただきます。

 なお、「非情のライセンス」のオープニング曲を提供した渡辺岳夫は、栗塚旭初期三部作「新撰組血風録」「俺は用心棒」「燃えよ剣」の主題歌の作曲の方で有名ですね。


〔TVドラマの時代〕

 こうして表をみてみると、1960年代が3本、1970年代が1本、1980年代が2本、1990年代が0本、2000年代が4本ということになりました。

 1960年代は、Mr. Rollinがアップしてくれた池田信氏が、消えゆく古き日本を写真に残してくれた時代です。

 一方で、埃舞い上がるむき出しの道路がアスファルトで覆われ、日本人が雨の日もデートに困らなくなり、また自動車が走りだしてから、クレージーキャッツを中心とする東宝のモダンでカラーが美しい華やかな現代劇が活気づき、その華やかさが、シャボン玉ホリデーなどの夢のように楽しいTVショーに引き継がれて、TVの輝かしい時代が始まったともいえます。

 TVドラマベスト10も、その辺りの時代の雰囲気の移り変わる瞬間が反映されているように思います。

 池島信氏が心痛めた部分が、救いがあるとは必ずしもいえないドラマの結末を真摯に受け止める「七人の刑事」に、日本の権力機構の毒々しいエネルギーを妙に魅力的な「白い巨塔」に反映されており、一方で、最新のヒット曲をそのままドラマ主題歌に取り入れ、いかにもTV的なドラマとなった「花いちもんめ」や、それまでの日本のドラマでは考え難かった「ニヒルな刑事と失踪した美貌の妻」なる設定で気障の極地のようなハードボイルド「ローンウルフ 一匹狼」が、新しい時代だからこそ生まれたといえるかもしれません。

 さらに表をみると、1960年代から2000年代にかけてのTVドラマは、橋本忍、石堂淑郎、佐藤純弥等の映画の世界から流れ込んだ実力ある脚本家と、向田邦子、早坂暁、山田太一等のTVで育っていく優れた脚本家に支えられていることがよくわかります。

 俳優陣も、佐野周二、岩下志麻、鶴田浩二、夏八木勲、佐藤慶、天地茂等の主演級と多くの個性的な脇役陣が映画界から参入して1960~1980年代を支え、田村正和、野際陽子、石館鉄男、財津一郎らが切り開いたTV俳優がその後の2000年代に続く洗練されたTVドラマの質を支えているように思います。

 「白い巨塔」などは、ほとんど映画俳優で占められており、この人達だけでみていると「白い巨塔」の時代劇版があったのかと勘違いする人もいるのではないかと余計な心配をしてしまいます。

 また、芥川隆行に代表されるTVドラマならではのナレーション文化も味わい深いものがあります。


〔1990年代はどうなっていたのか〕

 1990年代はどうなっているのかということが気なりました。

 ウィキベディアが、年代毎にまとめている「日本のテレビドラマ一覧」の1990年代をみてみました。

 ほとんどの番組タイトルの記憶がなく、今見て、そういえばあったなと思い出せるのが、

「渡る世間は鬼ばかり」(1990)「誰にも言えない」(1993)「古畑任三郎」(1994)

「3年B組金八先生シリーズ」(1995,1999)「白線流し」(1996)「失楽園」(1997)

「不機嫌な果実」(1997)「GTO」(1998)

だけで、この中で、リアルタイムで観た記憶があるのは「白線流し」のみで(「白線流し」は良いドラマでしたが)、「古畑任三郎」は最近レンタルDVDで観たにすぎません。

 結論からいうと、1990年代はTVドラマ不毛の10年間であったのかもしれません。

 「古畑任三郎」は、三谷幸喜のシナリオがよくできた面白いTVドラマで、田村正和もこれで1990年代を乗り切ったといえるほど頑張っています。

 しかし、「古畑任三郎」の基本骨格は「刑事コロンボ」(1972)をほとんどはみ出しておらず、およそ新鮮味のない印象を受けました。

 「古畑任三郎」が私の心に響かないのは、何といってもゲストの貧困ぶりであろうと思います。第1シリーズと第2シリーズのゲストを列挙すると、以下の通りです。

 女性ゲストは、中森明菜、古手川祐子、木の実ナナ、桃井かおり、沢口靖子、加藤治子、松たか子、鈴木保奈美で、

 男性ゲストは、堺正章、笑福亭鶴瓶、坂東八十助(坂東三津五郎)、小林稔侍、鹿賀丈史、唐沢寿明、石黒賢、小堺一機、菅原文太、明石家さんま、草刈正雄、木村拓哉、澤村藤十郎、山城新伍、風間杜夫です。

 ベテラン映画俳優と歌手、舞台系役者及び歌舞伎役者は別として、TVタレント、落語家及び若手タレントでゲストが構成されており、これらのゲストは当時のTVドラマの主役の常連であったろうと思いますが、ほとんど私の興味の対象外の方々で、例え時間があっても、彼らが主役のTVドラマは見ていなかったろうと思います。

 但し、名誉のために付け加えますが、この不毛の1990年代を生き抜いた草刈正雄、武田鉄也及び佐野史郎は、2000年代のTVドラマ及びTV時代劇を支える味わい深いバイプレーヤーになっていきます。

 また、最近、ずうずうしくも、松たか子と親子を演じようという田村正和も相変わらずのトップスターといえるでしょう。


〔故人〕

 さすがに映画出身の俳優たちの多くが、この世を去っていますが、若々しいイメージしかなかったTV俳優たちがこの世を去っていくことは寂しい限りです。

 「七人の刑事」「白い巨塔」の出演俳優は、一番の若手だった天田敏明さん以外は亡くなっており、「ローンウルフ 一匹狼」「非情のライセンス」の出演俳優の多くも亡くなっています。

 「花いちもんめ」で、大学生のお兄さん役を演じていた石立鉄男さんが亡くなったのにはショックでした。

 まだまだ記憶に新しい「パパはニュースキャスター」ですら、本田美奈子さん、芥川隆行さんが亡くなっており、最近も、「富豪探偵」でいい味をだしていた夏八木勲さんが亡くなっています。

 これら亡くなった名優たちには、素晴らしいTVドラマを残してくれたことに対して感謝を捧げます。

 また、田村正和、菅原文太、八千草薫、野際陽子、吉行和子、倍賞美津子、藤村俊二、富士真奈美、今井健二の皆さん方には、これからも末永く活躍していただきたく。

以上

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